2012-03-11

1年

細長いビルの5階のスタジオは大きく大きくバネのように左右に揺れて
通りを挟んだ大きな公園まで倒れてしまうのではないかという恐怖を感じ、
被害がさほど酷くない東京にいた自分でも
はじめて、生の終わりへの恐怖を間近に感じました。

その後は多くのミュージシャンが感じたように、
私もどんな気持ちで音楽と向き合えばいいのか分からず、
もがき、悩み、ひたすら悶々とした日々を送りました。
命や生死の前には、音楽は不謹慎とすら思えてしまった。

復興支援ライブ、チャリティーイベント、
どんな言葉をもっても被災された方や大切な人やものを失った方たちを想うと
すべてが軽々しく、薄っぺらく感じてしまって
中途半端なことはとても言えないと、
何かを発信することもできなくなっていました。

そんな中、この作品に関わることができて、
初めてそんな想いを少し昇華させることができた気がしました。
大きな使命を背負った気仙沼在住の彼女の歌は、
被災地の方をはじめ本当に多くの人の心を救ったはずです。

熊谷育美さんのアルバム『その先の青へ』
今日は改めて聴きながら過ごすことにします。

熊谷育美「その先の青へ」


そして。
本日21:30〜放送、堤幸彦監督の気仙沼を舞台にしたドキュメンタリードラマ
『Kesennuma, Voices. 東日本大震災復興特別企画~堤幸彦の記録~』
熊谷育美さんが歌う主題歌「春の永遠」を編曲させていただきました。





心を込めて黙祷します。

No comments:

Post a Comment